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Eros Novel

Sexual  Moment

 

 六本木交差点は雨も上がり、ちらほらとネオンが点き始めていた。7月に入ったと言うのに、梅雨のような天気が続き、憂欝な日々が繰り返されていた。

携帯を開き、風俗店の検索を始める。「SM優良店」・・・・六本木界隈にも数店舗有るようだ。

店の名前で、雰囲気を判断して遊んでいたが、SMの店は初めてで、名前から雰囲気を察するのが難しい。

どの店も怪しげな名前がつけられていて、当然、目指す客層に合わせているのだが、私にとって不安の材料でしか無い。比較的、柔らかい名前の「E・・・・」と言う店を選んで電話をした。

初めての店では、いつもの事だが、心臓の鼓動が自分でも分るほど高鳴る。緊張と期待と不安が性的な昂揚を誘う。

女性の声で「はい、E・・・です。」それは、私が想像していたような淫靡な声では無く、明るいカラッとした声であった。私はSMの初心者である事を伝え、お店の詳細を聞き出す。

交差点から程近いそのお店は、SMの店の中でも古い方の店だったので、初心者の私にとっては多少、安心出来た。

指定された、ビルに到着して、再び電話すると「○階の○○号室です。」と教えてくれた。

 

ドアには小さく店の名前が張ってあったが、知らない人間が見れば、何をやっている所なのか見当もつかないだろう。ビルに入ってから呼び鈴を押す瞬間まで、心臓は早めの鼓動を続け、股間に血液が大量に流れ込む。準備が整ってきていた。

「いらっしゃいませ。」優しく迎えてくれた女性は、ただの受付かと思っていたが、実は、後から聞いた所では、有名な女王様だったらしい。受付で性癖や経験など事細かにモニタリングされ、「経験の無い人はM奴隷から始めた方が良いですね。」と、お勧めの女王様を割り当ててくれた。「優しいから、導入の段階で自然にプレイ出来ますよ。」

 

別室に通されて、その女王様と対面して、再度、性癖などのチェックをされた。「着替えて来るので、シャワーを浴びておいて下さい・・・・何も着ないで待っていて下さいね。」優しい中に独特の命令口調が加算されていた。

シャワーを浴びて待つ事、数分で彼女が姿を現した。ボンテージの衣装に、当然のようなガーターストッキング。真っ赤なピンヒール。写真で見なれた女王様のいでたちである。

「そこに正座して、調教を懇願しなさい!」言葉と言うのは、発する環境の中で、独特の暴力的な力を感じさせる物がある。私は無言のまま正座して、頭を床に付け「御調教、お願いたします・・・・」と懇願していた。

女王様は私の後頭部をヒールのつま先で踏みながら、「良い子で言う事を聞きなさい!」と優しくもキツイ語調で言い放った。

掲載の写真は小説と無関係です

 

始めての緊縛プレイが始まった。

後ろ手に縛られる、通称「後手縛り」から、胸を一周した麻縄が首へと回され、上半身の自由を奪う。

続いて胸から別の縄で股間をめぐり、背中から分れた縄が、亀甲状に体の自由を奪って行く。SM の真髄は、そこにある。

 

この時点で彼女の言う事だけに集中出来た私には、SM を楽しめる素質が有ったのかも知れない。そして、蝋燭の洗礼を受ける。思っていたよりも熱く無かったが、昂揚する気持ちを盛り上げる為のスパイスにする為、声を上げていた。声を出す事により、自虐の心が広がってゆく。

 

バラ鞭を壁から取り、私の体中にへばりついた蠟を叩き落とす。「バシュ!バシュ!」部屋に鞭の音が響いた。

それほど、痛さを感じなかったが、全てが刺激的に進んで行く。

 

奴隷と成り、女王様に玩具にされて行く・・・・自我が崩壊して、言われるままに、全てを受け入れる。

日常も生活もそこには無い。有るのは性への欲望。女王様の満足を共有出来る快感。

 

続いて、足の縄を解き、正座させられた私の腿に、女王様のヒールが優しく食い込む。「御舐めなさい・・・」黙って従う、が、靴フェチでは無い私は、女王様の御足を直に舐めたいと懇願していた。「お願いたします。おみ足に御奉仕させて下さい・・・」女王様は馬頭しながらも、ヒールを脱いで、私の口の中へ、つま先を押し込んだ。うっすらと香る、蒸れ臭に異様な感情の高揚を興す。びんびんに勃起した股間のモノがはちきれそうに成ってきて、脳内に電気が走る。

一心不乱に舌を使い、舐め上げる。親指から小指まで、丁寧に、一本づつ・・・・

女王様が「お前・・・上手だね~」と褒めてくれる。内心、その御褒美を期待していた。

「反対の足も、御舐め!」

丁寧に時間をかけて、舐める・・・・顎が疲れるほど、続けていた・・・・

「御褒美をあげようかね~」

女王様は私の頭の上で仁王立ちに成り、美しい茂みを、レオタードの隙間からのぞかせてくれた。

ゆっくりと腰を落とし、私の口の近くまで接近させた。私は舌を思いっきり伸ばしたが、ギリギリで届かない。この<遣る瀬なさ>が、股間の充血を増量してゆく。届きそうで届かない、女王様の股間からキラキラと光る体液が滴って来た。女王様の味と香りのするラブジュースを1滴も逃したくなかった。

太ももを伝ってくるジュースに気を取られた瞬間、女王様が腰を落とした。蜜壺が口と鼻を塞ぐ。しっとりと汗ばんだ股間から、淫靡な香を漂わせ、私の呼吸を阻害した。吸いこめる最小限の空気に女王様の香が充満して私の性神経を逆なでする。

無理やり押し付け、呼吸出来なくしたり、舌の届かないギリギリの距離まで離したりする技に翻弄されつつも、近付く瞬間に舌を挿入する。

繰り返す刺激の波に女王様の股間もジュースを溢れさせているのが分った。私も、その様子に共鳴するかのように絶頂に近付いていた。

私の様子を察知した女王様は、一気に腰を上げ、「さあ、御褒美だよ!1滴も残すんじゃ無いよ!」

女王様の蜜壺から黄金の液体が溢れてきた。私の顔中に跳ね返る黄金水は香ばしい香と少しの塩分で咽返った。初めて「聖水」を頂いたのだ。頭の中のイメージの「汚水」感覚が咽返らせたのだが、経験してからは、嫌な香や味では無い事に気付いた。体調や飲み物で味は変化するが、自分の好きな相手の「聖水」なら、とても美味しく頂ける。

初めての「聖水」も最初の1ショットだけは咽たが、途中から腰を落として口へ直に流し込まれた女王様の「聖水」は飲み干した。肌を触れ合いながら、股間と口をピタリと付けて流し込まれた・・・・

同時に女王様は私のブリックを手で扱いてくれた・・・・脳内は空白に成り、体中の血液が集まった竿の先端から、白く濁った体液が勢いよく発射された。

女王様は余韻を楽しむように「聖水」で濡れた陰毛を私に掃除させた。

 

縄を解かれた私に、シャワーを勧める女王様は、普通の女性に戻っていて、優しく股間の精液を拭いてくれた。

 

「初めてのSMプレー。どうでした?」

 

シャワーから戻った私に、普通の会話で質問してきた女王様は、最初のワンピースに着替えていた。

 

この日を境に私の変態遍歴が始まる。

真夏の暑さは格別だが、湿度が低ければ不快感は少ない。太陽の下で過ごすバカンスは若年者にとって、心の解放を意味する大切な時間。性的発育の過程で夏は見逃せない時期である。

その年は私を大きく変化させた。SMクラブでの体験で、女性の喜ぶ様が、自分にとって最高の性的刺激となる事を知ったからである。

それまで、曖昧に意識していた、自らの「性的嗜好」が開花して、人生の目的を確立。同時に、可能性の広がりは、色々な事に反応できる体質を作り上げた。

そんな意味で、真夏の海辺は刺激の宝庫である。変態を意識して、有る意味、開き直りが有ったものの、犯罪を犯したくは無かった。それでも刺激に対して反応するモノは止められず、スイムパンツの中で隆起した竿が、パンツの上にはみ出しそうに成って居た時はタオルをかけて、誤魔化した。

湘南は昔からの海水浴のメッカで、老若男女、貧富の区別なく人々が集う。

特に、葉山のように、富裕層の多い地域も有り、特別な地位の方々も多かった。現在ではセレブと言う言い方を使っているが、そんな人種にも、性に関しては様々な感性がある。

 

御用邸に近い場所に、某家電メーカーの保養施設があり、友人に誘われて1泊した事があった。

その日は、早朝に東京を出て、午前8時には葉山に着いていた。

保養所で荷物を預かってもらい、早速、海岸へ向かった。狭い海岸で両脇には岩場が有り、海水浴よりも、素潜りが楽しめそうな場所だった。

少しの間は、浅瀬で泳ぎ、10時位には、岩場で潜って、食べられるモノを物色していた・・・・

1潜りして海面に戻る。プーっと息をした瞬間、私の目に、中年婦人の裸体が飛び込んできた。

浜辺からは高い塀で仕切られて見えなかった高級別荘のテラスのビーチチェアーに横たわっている女性は、どこか見覚えのある顔であったが、思い出せなかった。

女性は驚いた様子も、慌てた様子も無く、私に向かって手招きをした。

サングラスに隠された瞳は、私を引き付けた。年齢は50歳を過ぎていたようだが、妖艶な色気を放つ体つき。往年のブリジットバルドーを思わせる唇は異様にセクシーであった。年齢ほど荒れていない肌は、手入れの行き届いたセレブ・・・・?

私は呼ばれるまま、テラスへ登った。彼女は起き上がり、サングラスを外し、「何を捕っていたの?」と優しく聞いた。普通なら自分の裸身を見られた事を追究されると思っていた私の予想を大きく覆した。「そこ、どうしたの・・・・?」

岩場へ上がる時に、岩で内股を切っていたのに気付かなかった。「あっ・・・こ・・これ・・・?」

「岩で切ったのね?」彼女は立ちあがり、私の内股の傷を舐めた。彼女のふくよかな唇に私の血が付く。

私の顔を見上げ、ニヤリとして、右手で口の血を拭った。「手当しなくちゃね・・・」その視線に性的興奮を誘発され、ブリックが勃起した。競泳用のビキニパンツにくっきりと形が表れると、口を拭った右手が、その上を優しくなでた。ビクン、ビクンと反応するブリックに血の付いた口が近付き、パンツの上から押し付け、徐々に下がっていった口で、再び傷口を舐め始めた。そして、血の付いた右手を自分の股間へ運び、オナニーを始めた。

最初は人差し指でクリを嬲っていたが、愛液が充満すると、先に中指を押し込んだ。口では相変わらず、私の傷口を舐めていた。彼女の鼻から洩れる吐息が股間に熱い空気をもたらす。勃起したブリックは激しい痙攣を起こし、我慢汁でパンツを濡らし始める。競泳用ビキニパンツはきつく腰を絞めつけるが、それが、まるでSMの責めを受けているような錯覚を起こす。膝がくだけて、へたり込んだ私の内股は彼女の唾液と私の血液でヌメヌメとしていた。

「入れてくれる・・・・。」私の股間を触りながら、その女性は自分の股間を広げて見せた。

充分に勃起したブリックをスイムパンツの呪縛から解き放つと。隆々と天を指している。彼女は、むしゃぶりついて、唾液を潤滑油にした。ゆっくり腰を落とし、自ら迎え入れると、一気に奥まで差し込んだ。オナニーで充分湿っていた襞は適度な摩擦を感じさせながら私のブリックを呑み込んだ。グラインドさせながら、抜き差しするテクニックは、若い女性にはマネできない技だった。直ぐにでもイキそうな自分を制して、我慢する。はち切れそうな怒張を彼女は楽しんでいる。時折、目を開け私のもだえる表情を確認しては、声を荒らげて行く。股間から溢れる愛液で彼女が昂ぶって行くのが分った。お互いを意識しながら、2人の時間が燃え上がって行く。

私にとって、それまで経験したセックスの中で最高のセックスだった。彼女の声が動物的に変貌してゆき、私も絶頂を迎えようとしていた・・・・瞬間、彼女は私のブリックを抜き、濡れそぼった蜜壺で私の顔を覆った。

彼女の股間から潮が噴き出ると同時に、私の白濁は発射された!

彼女は、そのまま、しばらく、私の顔に乗っていたが、私の発射を確認すると、ゆっくり腰をあげ、私の顔に噴射した潮を舐め始めた。30分位の間、顔・胸・腹・股間・・・全てを口で綺麗にしてくれた。

 

そして、2人はしばらく並んで横になり、空を眺めた・・・・・

 

空白の脳裏に、ある映像が浮かんだ。それは自分が小学生の頃に見た銀幕・・・今、横に寝ているのは、その映画のヒロインを演じていた女優だった。

「あっ!この方は・・・・」

30数年前にデビューした新人女優。当時は、映画の中からアイドルが誕生していた時代だった。

純愛物のヒロインとしてデビューし、徐々に女優の風格を備えていった大女優である。テレビの全盛期に入ってから、極力、出演を拒んでいたと聞いている。ひとえに女優としてのプライドが有ったのだろう。

表立った世界から消えて久しいが、女性としての魅力は衰えていなかった。

しばらくの時間をおいて、彼女に話しかけた・・・

「他に、どなたも居ないのですか?」

「ええ、私・・・一人で生活していますのよ・・・」優しく微笑むような返事をいただいた。

彼女の話では、映画の出演料やDVDの印税、そして、主題歌の印税などで、生活は裕福に過ごしているとの事だった。その代り知名度の高さで、自由な行動は許されず、特に、自分の性癖を満足させる事は無理だと思っていたと言う。そんな所へ私が、裸同然で現れたので、一気に性欲を刺激されてしまったようだ。

彼女は、今回の事を秘密にして欲しいと言い、私に、ある提案を突き付けた。

「今後、秘密裏に私と会ってもらいたいのですが・・・私の性癖を満足させていただければ、相応の報酬を用意出来ます・・・・どうですか?お願できませんか?」

勿論、私の答えは決まっていました。

 

そんな出会いから始まった関係は微妙な距離を置きつつも深い関わりを持つようになり、自分の人生を大きく変えていったのです。

 

数日後、早朝から携帯が鳴った。件の女性からだった。

「明日夕方からお時間をいただけますか・・・・?」優しい言葉に、命令的な含みがあった。

私は、もともと、ニートでは無かったものの、フリーターと称する「自由人」、時間を作る事など簡単であった。

翌日、約束の時間に葉山の御宅へ出向いたのは言うまでも有りません。

話は25年前に・・・・

デビューして5年目を迎えた彼女に大きな転機が訪れた。アイドルとして、若き美貌だけでは通用しなくなって来る事は周知の事実だった。芸能界に華々しく登場した女性達の先行きは、奈落の底へ転がり落ちるか、女王のように業界を仕切って行くか「二つに一つ」。映画会社専属からプロダクションに移り、新たな挑戦が必要になってきた。

某外資会社が出資して、ヨーロッパを舞台に純愛ストーリーの映画を作る話が持ち上がった。

化粧品メーカーが自社の商品の宣伝を兼ねて、ヨーロッパにある古城をバックに美しい女性とイケメンのラブシーンをメインにした作品であった。

出資社にとって、内容には拘りが無く、あくまでも「美しい景色」が必要だった。

彼女にとっても、初の海外ロケで、しかもヨーロッパの古城と言う素晴らしいロケーション。ただの美人では終わりたく無かった彼女には、願っても無い企画だった。

話は、とんとん拍子に進んだが・・・・肝心の古城をどこにするかが、決まりかねていた。

最終的に、スロバキアの北方に有る城が候補に挙がった。幾つかの伝説が残る城で、撮影会社が敬遠しがちだった為、使用するための経費が安かったからである。

それでも、その城が放つ風格と品位は特別な物を感じる。それは、伝説のせいかもしれない・・・・・。

 

2年に及ぶ準備を経て、やっと日程も決まり、撮影隊は成田空港にいた。

機材は、先に現地へ送り、スタッフの数人は先入りしていたので、その日は、出演者数名、勿論、彼女も含めて。それに監督、脚本家、メイク、スタイリスト、マネージャー等を含む、数人のスタッフが同行していた。

成田の天候不順で雷雨が発着を妨げていて、出発が大幅に遅れていた。空港で待たされる事、数時間。出発前に疲れが出ていた彼女は、空港の中でリラックスできる場所を探したが・・・・結局、トイレで落ち付いていた。

生理には、まだ10日程有った筈なのに、便座に腰掛けると、経血が滴って来た。「あ~あ、何で・・・始まったんだろう・・・?少し、緊張してるせいかな~?」

多少は心配だったが、深く気にするほどの出来ごとでは無かった。

深夜0時40分、やっと、飛行機は中継地のフランスへ飛び立った。長いフライトに向かって。

 

フランス経由でスロバキアのブラスチラヴァ・イヴァンカ空港に到着したのは予定を2日も過ぎてしまった。

首都ブラチスラヴァのホテルで1泊して、目的の城へ向かった・・・首都から100Km程の距離をスタッフが用意したロケバスで向かう・・・・・

そこは、かなりの田舎町で、小高い丘の上に、古びた城はそびえ立っていた。

独特の風格が、今回の企画には最適だったと、改めて思わせる。人が住んでいないので、多少、荒れ果てていたが、石を積み上げた建物は揺ぎ無い。

ストーリーは、適度に売れた絵描きの男が、画商から依頼される作品に嫌気がさして、ヨーロッパへ逃亡し隠遁生活を送っている。そこへ、過去にモデルとして彼と出会ったヒロインが、モデルを辞めて彼を探しにヨーロッパへやって来る、と言う、いたって単純なラブストーリーであった。彼女の演技力をもってすれば、難しい事は無かった。

撮影はスロバキアの美しい景色の中で順調に進んでいた。

4日目。重要なラブシーンの撮影で、彼女の身辺に異様な事態は起こった。

城の門に寄りかかる彼女を若い画家が見つけ、歩み寄る。そして、彼女が自分の絵のモデルだった事に気づく。

彼女と画家の顔が近付く・・・・ハッとする画家。撮影では思惑通りのモノが撮れたのだが、画家役の男は、違う意味で驚いていたのだった。

徐々に近付く、2人の顔・・・・彼女の顔が別人の顔に成って行く・・・画家役の男優には、そんな錯覚が。彼女の顔が、ヨーロッパの女性の顔に変化していた。フィルムには彼女の顔は普通に写っているのだが。

その後も、数回、彼女の顔が変わって見えたが、他のスタッフには、見えず、一笑に伏された。

 

1週間の撮影予定が終了を迎えようとしていた。残されていたシーンは唯一のベッドシーン。

彼女にとって、アイドルからの脱却を謀る為の「儀式」のような物だったのかもしれない。

ひた隠しにしていたが、男性経験が無かった訳では無かったので、それほどの緊張感は無かった。

逆に画家役の男優の方には多大なプレッシャーが有ったと思う。

当代のアイドルとのベッドシーンなのだから・・・・・

天街付きのベットに純白のシーツ、その中に彼女が裸で居る。画家が全裸でベッドに近付いて行くシーン。勿論、画家は後姿で、前バリをしていた。ベッドに近付きシーツの中へ入る・・・・全てをノーカットで1連の撮影予定だったので、ストップがかからない限りカメラは回り続ける。

ゆっくりと、ベッドに入る画家。彼女は恥ずかしげに目を瞑っている。ベットに入った男優は一瞬、戸惑ったが、演技を続けた。下着を付けている筈だった彼女が何故か何も身に纏って居ない・・・・。

彼女にキスをする男優の目に、再三、現れる「ヨーロッパ美人」の顔が浮かぶ。彼女の顔が、その美人に変わり、男性を誘惑するような目つきで見つめる。彼の手を導き、股間を触らせる。しっとりとした襞が開き始めていて、指を吸いこんでゆく。スタッフからはシーツの中は見えていない。彼女の演技だと思われていた。

彼女の左手が男優の頭を優しく引き寄せ、口づけをする。唇が接触してから、舌が入り込むまでの時間は男優にとって、至福の時間であった。ゆっくりと、唇が触れ合い、彼女の舌が、男優の唇を開く。男優は唇が開くと一緒に歯間も開いてゆく。彼女の舌が、男優の舌に触れると、画家役の男優は、その画家に成りきっていた。

官能の赴くままに、唇を吸い続ける。唾液が混ざり合い、2人の意識が融合すると、画家はシーツに潜りこみ彼女の蜜を求めて、襞に舌を押し込む。彼女の蜜は淫靡に香り、画家役の鼻孔に毒を流し込む。

画家役の前バリは、彼の勃起力に弾かれ、はがれていた。彼はシーツの外へ顔を出すと、再び彼女の唇を求めた。彼女は軽くかわした後、彼を見つめる・・・・

画家役は、既に、演技を忘れ、夢中に彼女を求めた。彼女は、じらしながら、シーツの中で彼のブリックを刺激していた。我慢汁が溢れてきたのを、指で集め、自分の股間に塗りつける。愛液と我慢汁が混ざり合い、膣の中へ塗りこめられると、男のブリックを一気に飲み込んだ。

シーツの下で激しい腰の動きが起きる。連動して、2人の口から喘ぎが響く。

スタッフは、何も気付かず、真剣に見守っていた・・・・演技だと思って。

喘ぎ声が頂点に達して、発射してしまった画家役の男優はぐったりとしていた。

「おつかれさま!!!」スタッフの声で二人は撮影が終了した事を知った。駆け寄るスタッフを、彼女は制止して「少し、このまま・・・休ませて下さい・・・」

それを聞いて、スタッフは他の片付けに入っていった。画家役の男優も、しばらくは、立ちあがれなかったが、真実を知っていたのは2人だけだった。

 

全ての撮影が終わり、その夜は、打ち上げを行う手筈になっていた。立食のビュフェで東欧料理がふんだんに用意され、ヒロインを待つスタッフは撮影の苦労話に盛り上がっていた。

ヒロインの登場である。元々、色白の彼女であったが、その日は、透き通るような肌をふんだんに露出したドレスで登場した。司会の男からアナウンスが有った。「本日、撮影も無事終了して、皆様、本当にお疲れさまでした。本当なら、加賀君(画家役の男優)にエスコートをお願いして登場の筈でしたが、加賀君は体調を崩して、残念ながら寝ております。疲れが出たのだと思いますが・・・・」

パーティーは恙無く進行して行く。彼女は当然のごとく、スタッフや出演者に囲まれ、ねぎらいの言葉が飛び交っていた。最後のシーンの彼女の演技を絶賛して・・・・・・

翌日、ブラチスラヴァに戻り、空港で帰国の飛行機を待つ。画家役の加賀君は、血の気が引いたように、青白い顔で、回復の兆しが無かった。他のメンバーは無事終了した満足感をいっぱいに飛行機に乗り込んだ。

帰りのフライトでは乗り継ぎもスムーズに成田まで戻ってこられた。

空港で解散して、彼女とマネージャーは事務所へ報告に向かった。一方、加賀君はタクシーを使わず、リムジンで東京駅まで出て、電車を使って帰宅するつもりだったが、何故か新宿行きのリムジンに乗ってしまい新宿へ着いてしまった。気付けば夕暮れに差し掛かっていて、小腹もすいていた。加賀君は行きつけの多国籍料理屋へ寄り食事をした・・・・が、何故か、あまり好みでは無い料理が食べたくなり、妙な注文をしている事に気がついた。「あれ?なんか、変だな~?こんな物、食べた事が無いのに・・・・」

自分の変化を不審に思いながら、食事を済ませ、神谷町のマンションに向かった。タクシーを拾おうと、靖国通りまで行き、車待ちしていると、後ろから声をかけられた。流暢な日本語だが明らかに外人訛りがあった。振り返って驚愕した。撮影の時に、ヒロインの変化した顔。その顔が目の前にある。そして、二ヤリと笑うと、凶器のような八重歯が下唇の上で光った。それは吸血鬼の様相だった。彼は突然、道路へ突き飛ばされた。キーっと言うブレーキ音。加賀君は通りがかったトラックにはねられ即死の状態だった。目撃者の証言によれば、加賀君は何かに引っ張られるように道路に飛び出したらしい。自殺と断定された。20時20分の出来ごとだった。

 

事務所に帰った彼女とマネージャーは社長始め、スタッフの熱烈な歓迎を受けた。アイドル的な俳優から「一皮むけた」との評価を現場からの報告で知っていたからである。

銀座の某レストランを貸切り、歓迎の食事会を催した。彼女は自分が変わってきている事に、まだ、気付いていなかった。楽しい食事会がデザートで〆に入った時。突然、彼女が痙攣を起こし、気絶した。急いで、救急車を呼ぶ。ソファに横にして救急車を待つ。事務所のスタッフは不安で胸が締め付けられていた。「何か、不測の出来事が・・・・?」「現地で病気にでも・・・・?」「ただの、疲れなら良いけど・・・・」憶測がレストラン中に広がった。20時20分の出来ごとだった。

救急車が着く数分前に彼女の意識が戻った・・・・・救急隊員は健康の確認をして引き上げていった。

 

その後、この映画で彼女は多大な評価を得て、文芸作品や海外の大作出演の依頼が殺到した。

だが・・・・彼女と共演した俳優が不審な死を遂げたり、精神を病んだりする事が話題に成り始めた。

1~2度なら、気にもならないが、7作続くと、流石に、彼女の持つ「魔性」とマスコミが騒ぎたてた。

そして、彼女は銀幕から姿を消してしまったのだった。勿論、そんな事が無くとも、映画産業の衰退に差し掛かっていたので、新作映画を作れる環境が減って居た事も否めない。

葉山の邸宅に、夕方の6時位に着いた。正確な時間を約束していた訳では無かったが、出発前に時間の調整をしていた。

「お待ちしてましたわ・・・」丁寧な言葉使いで出迎えられて、多少、引け目を感じた。

「御食事を用意して有りますから、ご一緒にどうぞ。」

ダイニングに通され、食卓につく。使用人は居ないらしく、彼女が料理を運んで来た。

チキン胸肉を、ハーブを利かせて焼いた物にサラダが添えて有る。ガスパチョスープにローストビーフ。彼女が席に着くと、赤ワインを私のグラスに注いだ。

「乾杯しましょ・・・2人の再会と将来に。」<将来に>と言う言葉に不安を覚えながらも、ワインを飲みほした。程良い渋みの有るチリワインだったが、少しだけ妙な味が混じっていた。

「これは、どこのワインですか?」怪訝そうに聞いた私に、「ラベルをご覧あそばせ・・・チリのワインですよ。」「ちょっと変わった香りがするんですが・・・・?」

「分りましたか・・・・実は、血液が入っているんですのよ。」「えっ!血ですか!」口から吹き出しそうな事に堪えながら訊ねた。

「そうよ・・・・人間の血液・・・・あっ、でも、ほんの少しだけね・・・・」

彼女曰く、ヨーロッパでの仕事の後、体調の崩れで悩み、色々な医者を転々としたと言う。そこで巡り合った怪しげな心霊内科の医者に勧められたのが「血液摂取」療法だった。

今回のように飲んだり、輸血したりを繰り返す内に、みるみる体調が回復し、肌の艶や内臓の機能も最高の状態を保てるようになってきたと言う。

確かに、肌は透けるような白さと艶が有り、見るからに健康で、とても50代とは思えない。

しばらくは、その医者に通っていたが、今では自分で血液を調達して、飲み続けているのだった。

私は、言葉も出ないまま、話に聞き入った。

彼女の健康法は異様だった・・・・そして、もう1つの健康法を手伝って欲しいと頼まれた。

「明日、15時に、この住所まで行って、ある品物を受け取って来て・・・。その代わり、私の体を楽しませてあげる。」

初めて会った日の出来事が脳裏にくっきりと浮かんだ。あの官能的時間が再び共有出来るのだ。

用意されたバスに浸かり、これから起こる2人の時間を想像して、私のブリックが、はち切れそうに成っていた。

バスルームから出ようとすると、ドアの外に絶世の美女が2人立っていた。一人は黒い、体の線がくっきりと分るタイトなドレスを纏い、もう一人は同じデザインの深紅のドレスで・・・・

まだ、何も着ていない私を両側から腕を回し、隣の部屋へと誘った。

部屋に入ると、彼女は全身をラバースーツで覆って、ベットに座っていた。

私を連れてきた女性2人が私を縛り始めた。六本木で経験したSMクラブのプレイを思い出し、股間が熱くなった。またたく間に「亀甲縛り」を決められて、その間にも、彼女達は、見せつけるようにキスをしている。時折、私のブリックを弄んで。みの虫のように、がんじがらめに成った私を床に横たえ、彼女達はレズプレイを始めた。男女では、これほどディープなキスを見た事が無い。

黒の女性が舌を思いっきり出すと、赤の女性が、その舌を舐め回す。唾液が2人の口から溢れ、首筋を伝わって行く様は、官能と言う表現では物足りない程の嫌らしさがあった。私に見せ付けている事は明白で、時折、私の股間の反応を確認しいていた。

ベットから、その様子を見ていた彼女は、自分の股間を広げる。ラバースーツのその部分は、花弁の部分だけ露出するようにカットされていて、もう、既にキラキラと愛液が光っていた。ベットの上に、両足を乗せM字に開かれた股間は、陰毛を綺麗に処理してあり、蜜壺の中まで覗けそうな体であった。

ディルドを持ち出した彼女は、ゆっくりと唾液を垂らし、舌でディルドを濡らして行く。目の前では、赤と黒のレズプレイが続いていた。身動きを許されない私は、ジレンマに気が狂いそうな状態が続いた。ブリックの先端からは、我慢の限界を超えた液体が垂れ流され、目は充血してゆく。血液が体中を廻ろうとしているのを、麻縄が邪魔をする。縛りのうまさが、適度に血流を制御しているのが分る。

赤と黒のドレスの2人が、徐々に盛り上がって来た時に、私は、何か違和感を感じた。黒いドレスの女性の股間に妙な膨らみが有ったのだ。タイトなドレスの内側から・・・・確かに、その膨らみは男根としか思えない。しかも、最初は無かったのに、徐々に大きくなっている?

赤いドレスの女性がドレスを脱ぐと、モデルのような、締まった肉体が露わになった。股間の茂みは柔らかそうに茂って、その合い間から、愛液が滴っている。充分に潤っているだろうと感じる壺の中を想像してしまった。

赤ドレスの女が、跪き、黒ドレスの女?の股間に口づけすると、黒いドレスの股間の部分に体液のシミが広がってゆく。明らかに、男のモノがそこに有った。

タイトなドレスを、たくし上げると、隆々とした巨根が露出された。

赤ドレスの女がフェラを始める。口に頬張ると、ほっぺたに巨根が当たる。念入りに、しゃぶり上げ、喉の奥へと誘う。どこまで入るのかと見守っていると、喉の奥まで巨根が挿入されて行く。唾液とは違う粘液が巨根を経由して、唇まで流れ出す。滴って来る液体はラブローションのような粘液で、黒ドレスの我慢汁を加えて、泡立つような形で溢れていた。

しばらく、喉の奥で楽しんでいた2人だったが、そんな間にも、赤ドレス女は自慰を忘れていなかった。

中指から徐々に指を増やし、既に4本の指が押し込まれていた。指先を揃えて、親指を掌内に収め、手首を細くして一気に押し込んだ。赤ドレス女の眉間にしわが寄ると同時に「ウッ!」と、巨根を咥えた口からうめき声が漏れた。自分の愛液だけの潤いで手首まで入れたのである。フェラしながらの自慰が続く。左手は黒ドレスの腰にまわし、右手は蜜壺でピストン運動を続けている。

ベットでは大きめのバイブに持ち替えた彼女がオナニーを初めている。私に、濡れそぼった股間を見せつけながら・・・・・

赤ドレスの女が絶頂を迎えようとしていた。黒ドレスは巨根を抜き取り、粘液でドロドロの巨根をシゴキ始めた。

赤ドレスは床に倒れて、絶頂と共に、蜜壺の手を抜き取ると、噴水のように潮を噴いた。黒ドレスは膝をついて赤ドレスの女の股間めがけて、巨根からザーメンを噴き出す。濡れた茂みの中に開いた花弁に、肥料でもまき散らすように・・・・。黒ドレスは発射した精液を赤ドレスの女の胎内に指を使って集めながら、赤ドレスを抱きしめ、キスを続けた。

 

 

2人のプレイが落ち着くと、ベットの彼女の指示で、私の縄を解きにきた。縄を解かれた私は、精神的にも解き放たれたような感覚で、ベットの彼女の元へ這い寄った。彼女の花弁は大きく開き、私を受け入れようと待ち構えていたが、彼女は、まだ私をじらしてくる。ラバースーツをゆっくりと脱ぐと、全身に汗が滲み、ラバーの匂いと彼女の体臭が私の鼻孔にフェロモンをまき散らした。ここまで、じらされて、我慢する事の限界は超えていた。彼女に飛びつき、体中を舐め回し、私の口へ彼女の汗から淫情を与えられ、発射寸前の我慢汁が溢れだしていた。思いっきりブリックを突っ込むと彼女は獣のような声で歓喜する。私の背中に爪が突き刺さる。浅いが確実に毛細血管を破壊している。ブリックの血管に大量の血液が集まっているのが実感しつつ、背中の痛みが欲情を加速させる。ハードなピストンで、私の陰毛が彼女の大陰唇を赤く腫れさせた。お互いの感情と血液が股間に集中して、脳内を漂白してゆく。そこに残っているのは性の絶頂だけだった。2人共が大きな声を上げて絶頂へ向かう。ブリックから、勢いよくザーメンが発射され、同時に彼女の体の奥から潮が噴出する。ブリックを締め上げていた襞が急激に軟化して、膣が広がった。私は発射後も、しばらくの間ザーメンが、ドクドクと出続けていたのを感じた・・・・・・

一体、どのくらいの時間、寝ていたのであろうか?目を覚ますと、彼女の頭を抱きかかえるように、ベットで寝ていた。長い時間だったのだろう、腕が若干、しびれていた。彼女を起こさないように気を使いながら起き上がり、シャワーへ向かった。熱めのシャワーで完璧に目を覚ます。まだ、昨夜のプレイの余韻が残っていて、皮膚が敏感に反応する。軽く髭を当たっていると、彼女が起きてきた。シャワーの飛沫の中で、私に抱きつく。昨夜のまま、挑んできているようにも見えたが、精神的には平静のようだった。

それでも、熱いキスが、少しずつ下がって行き、隆起に触れる頃には、私の脳髄は性の深層に向かっていた。

静かに・・・・だが、深深と気持ちが集中してゆく。彼女の心臓の鼓動と私の心臓が共鳴する。

思わず、彼女の口の中に発射していた。唇から溢れる白濁した性の起原を彼女は指で集め、舌で味わうように喉へと流し込み、そのまま私との熱いキスに戻る。自分のザーメンの香りが、2人の口の間に充満していたが、嫌ではなかった。

「私の朝食よ・・・・」ニコリと笑って、こう言った。

「僕の朝食は・・・・?」と、聞くよりも早く、シャワールームの外から声が聞こえた。

「朝食の準備が出来ました。」昨夜のドレスカップルの声だった。

メイド服を着た2人がベットサイドにワゴンを運んで来ていた。

そこには、こんがり焼いたジャムトーストとトマトジュース。焼きソーセージに少しの温野菜。ソースポットにドレッシング。珈琲。に見えた・・・・・

トーストに塗って有ったのは血液。トマトだと思った物は、やはり血液。ソーセージと思ったのは、何かのペニス。ドレッシングは・・・・・ザーメンだった。

私は初めて恐怖を感じた・・・・「この連中は何者なのだ?」

 

ワゴンの周りに椅子を並べ、4人の朝食が始まった。その内容を気付かなければ、ごく普通の朝食風景であった。

「今日、あなたに頼みたいのは、13時に、ここまで行って、ある物を受け取って来て欲しいの・・・」

地図を渡しながら、静かに命令される・・・。それが、何故か妙に自然で、古くから関わっていたような錯覚を覚えた。

地図を見ると、都内の大きな病院を示していた。

「大きい荷物だから、私の車を使って行ってね。」

違和感の大きな食事を済ませながら、了解した。

 

渋滞を考慮して、2時間前に出発する事にした。

11時、玄関に出ると、真っ赤なVOLVO V-70が止まっていた。

ひどい渋滞にも会わず、世田谷にある、その病院へ向かった。一体、病院から何を受け取って来ると言うのか?

救急車用の入り口を避け、一般病棟用の駐車場に、12:40に到着し、彼女に電話をした。

数分、待つと、白衣は着ているが、医者ではなさそうな2人が、冷蔵のボックスを運んできた。重そうな、その荷物はVOLVOの荷台にちょうど合わせたような大きさだった。

無事、受け取り、葉山へ戻る。夕方の渋滞が始まらない内に・・・・・

葉山に着くと、例のカップル(赤と黒)が出向かいてきた。荷物を降ろし、3人で倉庫へ向かう。そこには大きなチャンバー(冷蔵の部屋)が有り、低温の中で、幾つものビニールタンクを積み上げていた。

「これは・・・・・?」2人は声をそろえて、「血!!」

内心、気付いてはいたが、実際に目の前の光景に言葉を失った。

 

ダイニングで彼女と私、そして不思議なカップルの4人が向かい合っていた。彼女がスロバキアで体験した出来事を語り始めた・・・・・

 

撮影隊がチェイテ城に到着して、監督からの指示で、日程が遅れた分、早めに撮影をスタートしようと言いだした。軽い昼食を摂り、メイク用に用意された部屋へ入った。そこは、外気よりも温度が数度低く、ひんやりと感じた。メイクさんも同様に冷気を感じていたようで、メイクをしながら「なんか・・・寒く無いですか?」と訊ねてきた。そして、この城にまつわる伝説を持ち出してきた。

「このお城、撮影で借りるのに、ものすごく安かったらしいですよ。・・・中世のヨーロッパには色々な伝説が有るけど、ここのお話は、すべて本当の出来事だったみたいで・・・・」

「どんな、話が有るの・・・・?」私が興味を示したので、メイクさんは、ゆっくりと話を始めた。

「この城の城主はパー何とかと言って、すごく残酷な家系だったそうで、その娘のエルペー何とかって言う女性は滅茶苦茶なサディストだったらしいんですよ・・・・」

私の唇にルージュを点しながら続けた・・・

「その、エルペー何とかは、自分の気に入った女性や男性を城に呼び寄せては、毎日のようにセックス三昧だったそうで・・・・そう言えば、「鉄の処女」って言う拷問道具、知ってますか?まだ、ここに残っているみたいなんですけど、あまりに残酷な物なので公開を控えているそうですよ・・・・」

私の仕事の顔が徐々に出来上がってゆくのだが、いつもの仕上がりと少し違って感じたのは気のせいだったのか?

「どんな、道具だったのかしらね~。ちょっと興味ある・・・・」私が聞くと。

「棺のような箱の、内側にナイフ見たいな物が沢山、突きだしていて、蓋にも同じような刃物が沢山・・・だから、中に人を入れて蓋をすると、全身にナイフが突き刺さる・・・お~!ゾクゾクしてきた・・・」

彼女の話によれば、気に行った「処女」と「童貞」を、その「鉄の処女」に入れて殺し、流れ出た血液をバスタブに張って入浴するのが、若返りの秘薬と信じていたようだ。吸血鬼伝説の元になったエピソードだと言う。

 

最初の撮影は城外で、城を眺めるヒロインの撮影だった。一人で台詞も無く、舐めるようにゆっくり、城を見渡してと指示された。

南側から北側に向かって、視野をスライドさせてゆく。カメラは私の回りをレールに乗って滑るように顔を追いかける。私の目が、有る部分で止まってしまい、カットがかかった。

「どうしたの~、そのまま北の方まで見てくれなきゃ・・・?」監督に聞かれた。

「あの~、今、お城の中には誰も居ませんよね・・・・?」「何、言ってんの?全員、ここにいるじゃない。」

確かに見えたんです。メイクした部屋の窓に、人影が・・・・

2時間位で、無事、撮影を終了したが、私の網膜には残像が焼きついていた。

中世のヨーロッパ貴族のようなドレスを纏い、仮面を被った、いでたちは舞踏会にでも出かけるかのようだった。コルセットに締め付けられていると思われるウェストは信じられない位の細さで、そのおかげか、バストとヒップは、はち切れそうに張っていた。髪の毛は高く盛り上げられ、独特のオーラが体全体を包んでいる。昔、見た映画の1シーンのように、優雅に身をひるがえして、部屋の中に消えて行った。

「私だけにしか見えなかったのか・・・・?」

 

その晩、夕食が終わり、ナイトシーンの撮影が始まった、ライトが沢山、焚かれた中で、スタッフが右往左往している。私は、メイクしてもらっている間、雑誌を読んでいた。当時は、まだ、今のように携帯でウェブサイトなど見られる訳では無かった。情報元としては雑誌が一番の媒体だった。助監さんの好意で時間待ち等を考慮して、かなりの雑誌を持ち込んであった。勿論、日本の・・・・

ある、ファッション雑誌のグラビアを捲っていると、突如、あの昼間の女性の写真が!

私は瞬きして見直す・・・・それは一瞬の錯覚だった。ウェディングドレスのグラビアで、モデルも日本人だ・・・何故?見間違えたのだろうか?

 

食事シーンやリビングに寛ぐシーンなど数カットの撮影が無事終了して、スタッフは割り当てられた部屋へ解散していった。メイクさんは私の部屋で一緒に過ごす事に成っていたが、その夜は帰ってこなかった。昼間、仲良くしていた、現地スタッフの部屋で過ごしたようだった。

翌朝、彼女から詳しく聞かされた。「SEXがとても上手で、優しくて・・・・朝まで寝かせてくれなかった。」

SEXに関しては、あまり詳しくは話さなかったが、クンニが上手な男性のようだった。

そんな話をしながら、メイクを続ける彼女の首筋に小さな傷が有った事を知ったのは、クランクアップの前日だった・・・・・・

 

その日、撮影が終わり、最終日を残すのみになって、全員が、少しだけ落ち付いていた。監督は「明日は最終日だから、今日はゆっくりと休んで、明日に備えよう・・・」と激を飛ばしていた。

私は部屋で寛ぎながら、雑誌を読んでいたが、メイクさんが「シャワー・・・御先にどうぞ。」と声をかけて来た。私は、彼女のシャワー待ちが心苦しくて、「じゃあ、御先するね。」とシャワールームへ入った。

少しだけ熱めのシャワーは、1日の疲れを癒してくれる。頭から熱いお湯を浴び、首筋や胸に流れて行く暖を感じつつ、その日の出来事を振り返る。その記憶の中から、不快な記憶だけが、流湯と共に下水溝へ運ばれて行くのを望みながら。

急に、私の頬に冷たい手が触れた。後ろから、明らかに女性の手が回って来て、頬から唇へと伝ってゆく。一瞬驚き、振り返ると、メイクさんが裸で後ろに立っていた。私が振り向くと同時位に、私を抱きしめ、「明日には終わってしまう・・・・その前に、貴女をこうして、抱き締めたかった・・・」彼女の、告白は少しだけ予測出来ていたが、このタイミングでされるとは、夢にも思っていなかった。私は、あくまでストレートだったし、彼女に対して思わせ振りな態度をとった覚えも無かったから。

彼女の変化は、現地スタッフと1夜を過ごした翌日から始まっていた。妙に私の肌に触れたがったり、ルージュを引く時も、それまでより念入りだったりと・・・・

後ろから抱きしめられ、それでも、私は嫌な気はしなかった。かえって、私も後ろへ手を回し、彼女の体を自分に密着させるように、お尻を引き寄せていた。柔らかな茂みが私のお尻に、さわさわと接触して来ると、彼女がキスを求めて来た。振り向きながら、私はそれを受け入れていた。今から思えば、何故、ああも素直に受け入れられたのか不思議であった。

触れ合う唇が、心の隅に火を灯し、徐々に激しく求めあっていた。彼女の舌が私の唇をこじ開け、唇と歯の間の歯茎に当たると、私は自然に口の力が緩み、自分の舌を絡ませていた。2人の心が唾と共に融合して行くと、脳の中に潜在していた激情が揺れ動いた。

私は振り向き、彼女を力一杯抱きしめ、唇を絡めていった。

レズと言う性の世界へ初めて足を踏み入れたが、体中に力がみなぎって、お互いを求めあう事で自分の感情を抑えられなくなっていた。

シャワーのお湯を頭から浴びながら2人は長い時間、キスを続けた。濡れたまま、抱き合い有ったまま、シャワールームから出て、床に倒れ込む。濡れた体で抱き合い、キスを続ける。彼女の手が、背中から離れ、私の胸をわし掴みにする。痛いほどきつく掴まれ、乳首が勃起していた。手を離し、勃起した乳首を甘噛みする。彼女の歯は適度な強さで、性を高めて行く。甘噛みしながら、舌を使って先端を舐めて来ると、思わず声がでてしまった。「あ~~」のけ反る私の体の下に手を回し腰を引き寄せる。彼女の柔らかく繊細な肌が、私の下腹部と密着する。多少汗ばんだ皮膚どうしが、吸盤が張りつくように吸い合う。激しいキスを続ける彼女の額から汗が滴る。私も夢中に、彼女の唇を求め、激しい舌の絡み合いが続いた。

私は下から、彼女の腰をカニ挟みするように、足を絡めた。自分の茂みを彼女のお腹へこすりつけるように、きつく・・・・・。バギナから溢れだした愛液が彼女のへその辺りを濡らす。クリトリスが硬く腫れあがり、小陰唇からはみ出し、彼女のお腹にこすれる。こすれる度に、歓喜が、徐々にこみあげてきた。

挿入もしていないのに、バギナは反応し、子宮が収縮する・・・・感涙がお互いの陰唇から溢れて来た。

態勢を変え、お互いの愛液を舐め、すすり合う。彼女の味が性の香りを充満させて、口いっぱいに溢れた。と、同時に記憶が消えてしまう程の快感が全身を痙攣させた。声も出ないくらいに・・・・・

 

しばらくは放心状態で時間が経過してゆく。ゆっくりと彼女の方へ顔を向けると、彼女は、まだ気をいったままの状態だった。その時・・・・彼女の首に、小さな2つの傷跡が有る事に気付いた。まるで、噛まれた時の歯型ようだった。

そこまで語ると、「お腹が、すいたわね。」と話を中断した。

ドレスカップルの2人が食事の準備をしに行った。私は、話の続きが気に成って仕様が無かったが、彼女達の行動に合わせるようにした。

食事は、ほぼスタンバイ出来ていたようで、数分で運ばれてきた。

私と彼女はダイニングの大きなテーブルで食事を進めたが、ドレスカップルは別の部屋で食事をとった。

食事は、相変わらず、不思議なメニューだったが、だんだん美味しく感じて行く事に不安がよぎった。

 

食事が終わり、居間で4人が車座に座り、話の続きが始まった。

「彼女の首の傷が、その後の私の人生を大きく変えてしまったの・・・・」彼女が語りだす頃には、ドレスのカップルは肩を寄せ合って、キスを始めていた。

初めてのレズプレイを充分に堪能した後、メイクの彼女は、私を支配し始めていました。

翌日の最終撮影の際、彼女はメイクに、普段の2倍近く時間を費やしました。その中で、一番最後に塗られた、ルージュの香りは、特別な香りがして、唇全体に塗られた所から、私の記憶は消失していました。それは、撮影が終わり、シャワーでメイクを流しきるまでの時間の全てが消えていたのでした。

日本に戻ってからの彼女は狂気に歪んだ日々を送っていた。

そんなある日、池袋のアンダーグラウンドの店へ出没した。店に入って来た時から、異常な様子で、中東音楽のライブ演奏が始まると、半裸に成って、ベリーダンスを踊りだした。店の従業員もお客も酔いが回っていて、彼女の異常さを楽しんでいた。手拍子の中で踊る彼女は妖艶に輝き、どんな男も勃起せずにはおかなかった。

閉店時間を大きく過ぎてしまったが、誰もが、堪能している時間は、まるで止まっているかのようだった。

踊り疲れて、彼女がへたり込むと、一人の「イケメン」が傍に寄り抱きかかえた。その男は店の料金を払うと、彼女と共に、雑踏へ消えて行った。

某高級ホテルの一室。先の男と彼女が飲み直していた。ドンぺリをひかえて、あえてモエシャドンを注文した男は、適度なセンスと、品格も備えていた。ルームサービスのアンティパストにシャンパン。彼女への対応も、焦りも無く穏やかだった。男はシャワーを浴びに行くと彼女は何のてらいも無く憑いて行く。全てが自然に流れていた。ただ一つ、彼女の体に不気味な悪魔が住み着いていた事を除けば・・・・

 

男がシャワールームでシャワーを浴びていると、ワインレッドのタイトスカートに黒のタンクトップスタイルの彼女が入って来て、着衣のまま、男に抱きついた。はじける熱めのシャワーの中で、強烈なキスの雨を降らせる。男は当然、購う事など出来はしない。ただ、彼女の欲望に応えるだけだった。

濡れたタンクトップが彼女の胸に張り付き、ブラジャーをしていない乳首が卑猥に勃起しているのが分った。

濡れた唇が、男のブリックを咥える、喉の奥に当たり、粘液が溢れてくる。男はのけ反り、声を漏らす。先程までの紳士然としていた余裕は、既に、消えていて、野獣の趣に変貌している。それほどの巨根では無いが、綺麗に反り上がったブリックを、彼女は嬲り続けた。

一瞬、抜いたブリックから、彼女の顔に、ザーメンが飛び散ると、彼女は一滴も逃すまいと顔中に受けて、唇の回りを舌でなめる。指で集めたザーメンを男のブリックに塗りつけ、それを再び舐める。恍惚の表情の彼女の頭の中は空白になっていた。

 

男は、先にベットへと行き、彼女がシャワーを済ませて戻るのを待った。シャワーを済ませ、鏡の前で自分の体を見つめる。鏡の前に置いてあったビトンのバックから小さなピルケースを出した。普通の状況であれば、性交前に、ピルを飲むのかと思われる行為だったが、実は、手に取った薬は特殊な毒で、1~2時間で絶命する猛毒だった。

そのタブレットを右手に包み隠し、男の居るベットへと近付く。ベットに仰向けで待つ男の上に覆いかぶさると、激しい口づけを交わす。ほんの数分前に性を吐き出した筈の男が、彼女の熱情に刺激され、再び蘇る。怒張したブリックが薄めのシーツを盛り上げた。その膨らみを感じ取った彼女は、右手に持っていたタブレットを舌の下に隠し、男の口へ押し込んだ。男は溜まっていた唾と一緒に呑み込む。媚薬か何かだろうと多可を括っていた。

彼女はシーツを荒々しくはがし、充分に濡れそぼった花びらを、男のブリックで、こじ開けるように挿入する。入口で少しの抵抗は有ったものの、カリの部分が飲み込まれると一気に膣を突きぬけ子宮に当たった。

自ら腰を揺り動かし、快感を貪る様子に、男も時間や環境を忘れて没頭して行く。2人とも、頭の中に残っているのは、性の恍惚を追い求める気持ちだけだった。

激しい動きが2~30分続き、常人であれば、運動による息切れを誘発している筈であるが、男は、強引に飲まされた薬のせいか、疲れを感じなかった。彼女は、スロバキアでの撮影の後、人間とは思えない程の鋭い感覚と生態能力が溢れて、何事にも強烈な力を発揮していた。ただし、その特殊な能力を発揮する時の記憶は完全に消失してしまうのだが・・・・・・・・・

体中の水分が汗となって流れ出しているような2人のセックスは、情熱とかでは理解できない、動物的な情景だった。上に乗っている彼女の口から唾液が溢れ、顎を伝って男の顔に滴る。男のブリックからは、我慢汁がドクドクと溢れ、2人共、体の内外ともに粘液にまみれていた。男が彼女の腰に手を回すと、彼女の汗でぬるぬるとして、まるで、セックス用のローションを塗っているかのようだった。

男は態勢を入れ変えようとしたが、彼女がそれを阻んだ。男の両手をベットサイドに押さえつけて、男の顔を舐め回す。唾液が男の顔を濡らすと、それさえも、男の興奮を誘った。彼女はガウンの紐で、男の手首をベットの枠に縛った。そんな間にも、腰の動きは止まらない。男が気をイキそうに成ると、動きを調節して発射をさせない。萎えそうになると、再び激しく腰を揺する。男にとって地獄のような天国が続く。

いよいよ我慢の限界が近付く。彼女も同時に頂点に達するべく、激しいピストンが始まった・・・・

ベットがギシギシと軋み、その音でさえ自分たちの為のスパイスにしてしまう。彼女が男の頬を平手で叩く。激しく、激しく叩くと同時に男が発射した。その放出される性の白い液体を子宮に感じて彼女も絶頂する。

いつまで続くのか、放出が止まらない。徐々に、男の生気が消沈してゆく。彼女の快感の余韻と一緒に、男の命が、消え行く蝋燭のように細く、弱くなってゆく。

彼女が、ブリックを抜き取ると、先端から放出されている筈の、白濁液が血液に変わっていて、萎え始めたブリックを真っ赤に染めている。溢れ、止まらない男の血を彼女はブリックを口に含み吸い取った。

男の体から、水分が減ってゆくのが分る程に・・・・・・

 

 

上野池の端に有る、某映画館はゲイの「発展場」として名高い。

ある夏の暑い日、一人のシーメールが、その映画館を訪れた。勿論、性のパートナーを求めてだった。

上映中の映画館は独特の沈黙が支配していたが、ところどころで、少し荒い息遣いが聞こえる。映画の音量でかき消されてはいるが、その目的で来ている人間には察知できた。

彼・・・いや、彼女と呼ぶべきなのだろう、彼女は、最前列まで進み、スクリーンを背にして、物色し始めた。

ピンク映画なので、「発展」を望む以外の普通の男性も来場している。違うのは、スクリーンを見ずに、周りを気にしている男性客である。

彼女が目を付けたのは、学生風の若い男で、顔立ちが美しく、女性に成っても充分に美人の部類に入りそうな男だった。その男、15分おき位に、席を移動していて、挙動がおかしかった。ロングコートを着た中年のくたびれた男が付きまとい、逃げているようだった。シーメールの彼女は、彼が移動した瞬間に隣の席に座り、ロングコートが近付くのを遮った。映画を見るふりをしながら、彼の手を握ると、暑さだけのせいでは無く汗ばんでいる。彼女は、その手を、自分の顔に運び、指の汗を一本づつ舌で拭き取ってゆく・・・

彼は、戸惑いの様子を見せたが、徐々に彼女のペースに巻き込まれていった。スクリーンでは、エロティックなシーンが映し出され、彼女の舌の感触に、勃起しているのが分った。彼女は彼の耳元で囁いた。

「どこかで・・・・2人だけに、なりたい・・・・駄目?」

彼女の言葉に誘発されて、彼はゆっくりと席を立った。彼と女は手を繋いだまま席を立ち、彼女は彼の手を引いてドアへ向かった。スクリーンに向かって横のドアを出ると、直ぐに男子トイレがあり、2人はためらわずに飛び込んだ。中へ入ると、彼女のキスの嵐が襲う。彼の股間は充分に勃起している。2人が大便用の個室へなだれ込み、彼女はロックすると彼のズボンを下げた。ほんの数分の間に2人は急激な本能の世界へ滑り込んだ。

独特の消臭剤の匂いとアンモニア臭が広がる公衆トイレで、彼の下半身は露出され、彼女の口に頬ばられた。

無心に男のモノを咥え、目線だけを彼に飛ばす。彼は、その目の奥から発せられるフェロモンに魅入られた。

勃起もMAXに達して、一気に放出された白濁液が彼女の化粧を崩す。彼女は、指で集めたザーメンを美味しそうに口に運ぶ。そして、ブリックを咥え直し、優しく吸いつくように始末してくれた。

当時、2度目の大学受験を目指していた彼は、初めて他人の口に発射した。そう、その時の彼は童貞であった。ピンク映画でオナニーするつもりの彼が、セクシーな彼女と巡り合ってしまったのだ。

映画館を出ると、彼女の導きで湯島のホテルへ入った。当時の彼女は未だ男根を未処理のシーメールであったが、彼の前では、見せる事は無かった。ほぼ、1年の間、彼は彼女がシーメールである事を知らずに馬鍬っていた。

やがて、男はミイラと化していた・・・・・

数日後、夢の島ゴミ処理場で、ミイラが発見されるまで、その男の死を知る者は居なかった。

勿論、彼女が秘密裏の内に夢の島へ運んだのだが、その時、2人のシーメールと出会う。

前出のドレスカップルである。

 

 

ある日、いつものように、彼女が水商売へ出かけようとすると、今まで言い出さなかった台詞が彼の口から飛び出した。「今度、お店へ行っても良いかい?」彼女の勤める店は「ゲイバー」と呼ばれるMTFのお店で、来れば、自分の本当の姿を知られてしまう。「いつかは、伝えなければ・・・・」っと心では思っていたが、決断するには別れる可能性も視野に入れなければならなかった。

「分ったわ、今日、来て見る・・・・ただし、何が有っても冷静に静観してね・・・・」

この言葉に彼は、「お店で、きわどいサービスをしているのか?」と、思ったが、それでも、彼女の働いている所を見ておきたかった。

 

新宿2丁目。今でこそ、一般の人にも認知度が高いが、一昔前で有れば、特定の人間以外、馴染みが薄い地域である。

その2丁目に、彼女の勤めるバー「アマンダ」は有った。

それほど大きく無い店舗に10数名のスタッフ。シーメール(当時はオカマと言った方が通じるが)6名とバーテンダー1名。ママもオカマ然とした初老のシーメールだが、独特の美貌は失って居ない、そして、通称オナベ、女性で有りながら男に成りたがっている人達。店の作りはスナックのように、カウンターと、6人用のテーブル席が2つ。その日も開店からにぎわっていた。

 

彼は銀座のレストランで、ウェイターをしていた。人当たりの良さと、素直な性格でイケメン。職場の女性達からのアプローチも少なくなかったが、同棲していた事は誰も知らなかった。

仕事は夜の11時に終わる。普段はその後に、スタッフの食事なのだが、その日は食事をせずに店を出た。何故か一日中落ち着きが無かった彼の様子と、そそくさと帰る彼を見て、スタッフ達は、「デートにでも行くの?」と囃し立てた。

銀座から地下鉄で新宿3丁目へ向かう。彼の頭の中で、不安が募っていた・・・「もし、彼女が男性客に特別なサービスでもしていたら、我慢できるだろうか?」それほど、彼女のエロティックなフェロモンは強烈な物だったから。

3丁目から2丁目までは近い。新宿通りから脇道に入ると、雑居ビルが立ち並びその中に、バーやスナック等の小さな店がテナントとして入っている。「アマンダ」はそんな店の1つであった。

重みの有る木製のドアに、金属のプレートが貼ってあり「アマンダ」とだけ刻印されていた。一見では入り難いお店の様相であるが、中から大きな笑い声が響いていて、そんなお店での遊びになれた「遊び人」なら店内で行われている遊びの面白さを察知できる騒がしさであった。

彼は、不安を抱えたままドアを開いた。

いらっしゃ~い!」一斉に従業員全員の声が迎え入れてくれる。彼が思っていたような店で無い事は一目瞭然である。

「どうぞ~~~こちらへ~~」言葉は女性でも、声の太さが「おかま」だと分る。

彼は即座に、彼女がシーメールだったと察知した。

1年間に築き上げた2人の関係が、その事実を否定出来ないほど深くなっていた彼は、なぜか抵抗無く受け入れていた・・・・「そうだったのか・・・・」心の中で、この1年の間に、疑問のあった彼女の行動の全てを理解するのも早かった。

あれほど愛し合っても一緒にお風呂へ入らなかったり、全裸の姿になるには、明かりを全部消していたり、生理の様子も無かった・・・

席に座ると、彼女が隣に座った。他の従業員が彼女を囃し立てた。その日、同棲中の彼が来る事を知っていたからだ。「彼~~素敵じゃ~無い・・・」「私にも紹介して~~~」

彼は、照れながらも皆に挨拶した。キャーキャーと騒がれても、決して嫌な気はしなかった。

かえって2人の中が深くなったのは言うまでも無い。

その夜は2人にとって、記念すべき日に成った。明け方まで盛り上がり、みんなに祝福されて、まるで、結婚式のような雰囲気で朝を迎えた。

2人共、朝まで遊ぶつもりで、翌日は休みを取っていた。早朝の丸の内線でアパートのある荻窪へ向かった。疲れた彼女が彼の肩に頭を預け居眠りしている姿は、うわべだけのカップルでは無い事を物語っていた。彼はその彼女の髪へそっと手をあて、電車の揺れで肩から落ちないようにしていた。

アパートの部屋に入るなり、着替えもせずにベットへ横たわり、熟睡した・・・・

 

唇への柔らかい感触で彼は目覚めた。彼女の唇が優しく口づけしていた。目覚めと同時に性のスウィッチが入った。多少、前夜のアルコールが残っていたが、2人の唾液がカクテルする。

荒々しく服を脱がし合う。勃起した男根が触れ合う。彼女にしてみれば、初めて自分の男根を彼に晒せる事が、嬉しくて、これまでにも増して興奮していた。我慢汁が溢れ男根を濡らしている。

その事を彼は感知していたが、初めての経験に心は躍っていた。誘発されて、ギンギンに凝固する自分の男根に「こんなセックスも、自分には最高の刺激をもたらす」と知った彼は、歓喜の声を漏らした。普段のセックスでは、頭のどこかに余裕が有り、こんな声など出した事はなかった。本能の赴くままに自我を崩壊して行く自分があった。

これまで、女陰だと思って彼女のアナルへ挿入していたが、今日はアナルである事を自覚してセックスしている。そして彼女の男根にも抵抗無く、フェラをし、彼女の射精を受け入れていた。発射した彼の精子を口に受け、自分の発射した精子を、お互いの口でキスしながら飲み合う。独特の香りが2人の口の周りに充満していた。

彼女が望んでいた愛が完成したのだ・・・・・

そして、数年はそんな暮らしが続いていたのだが、若かった青年の心に変化が表れてきていた。

「自分は、何故、こんな愛の形しか掴めなかったのだろうか?このまま、男としてシーメールを相手の愛を深めて行けるのだろうか?子供を作る事も無く一生を終わるのか・・・・・?」

彼の心境の変化は相手のシーメールにも伝わっていた。それでも、触れたら壊れて行くのが怖くて、お互いに心の中に隠し持っていた。

冬が間近にせまる、ある日曜日、2人は公園にいた。ベンチに並んで座り、公園の遊具で遊ぶ子供たちを見ていると、その純粋な姿に誘発されて、心が童心に帰って行くような錯覚にとらわれていた。

若い方の男は、自分が小学生の頃を思い出していた。

 

確か、4年生の頃、学校の校庭で遊んでいて、膝をすりむいてしまい、医務室へ連れて行かれた。医務の先生は女医さんで、とても優しい方だった。彼の膝の傷を見て女医さんは指に唾を付けてさすってくれた。勿論、薬が無かった訳では無く、彼の安心感を引き出すテクニックの一つだった。純粋な子供ほど、そんな簡単な事で信頼関係が築けるものである。薬を塗る前に傷を舐めてあげたのだ。

その指を口に運んでもう一度唾を付けて、膝に塗ってくれた。その時の指に着いた自分の血と女医さんの唇の映像が、後々、彼の自慰の対象に成っていた。小学生で有りながら早熟だった彼が、自慰を覚えたのは早かった。最初は何か物にこすりつけて快感を得ていたが、次第に手で擦る事が、もっと気持ち良い事を知り、トイレのように遮断された空間を見つけて自慰に耽っていた。そんな彼に、良いオカズが出来たのだ。血液の付いた唇に性的な興奮を覚えた彼は自らの指を傷つけそこから滴る血液を股間にすりつけて自慰をしたりしていた。勿論、そんな時の頭の中の妄想は「女医さんの唇」でしゃぶられている自分の分身が大きく隆起して、女医さんの口の中へザーメンを発射する。発射されたザーメンが血液と混ざり、美しいピンク色に変わる刹那、脳内のホルモンが多量に分泌され、極度の快感が訪れる。

そんな、学生時代を過ごし、二十歳に成っても、ヘビーなオナニストと成ってしまった彼は恋人も出来ず、ピンク映画館での「自慰時間」を日々の楽しみにしていたのだった。そんな時に、彼女(彼というべきか・・・?)と出会った。あの上野の映画館の体験は彼をオナニストから解放したのだ。

そして、いまだに、女性に関しては「童貞」を保っている。

一方、同じ景色を見ながら、少し年上のニューハーフは将来の事を夢見ていた。

「現在の彼氏と結婚生活を送るには、どうすれば良いのか?」子供たちの遊んでいる姿から「子供が欲しい」とも考える・・・叶わぬ夢だと諦めるのか?自問自答しながら、彼の横顔を見詰めた。

そして、その夜、彼に事のあらましを伝える決心をしていた。

 

いつものように、一緒にお風呂に入り、お互いの体を慈しみつつ洗い合う。時折、股間に触れる指に、気持ちが高ぶって行くのを感じながら。年上のニューハーフは、竿も玉も切除していないが豊胸手術で胸は大きかった。若い彼が乳首に口づけすると、女性と同じように勃起した。体の石鹸をシャワーで洗い流しながら、乳首を甘噛みすると、声がもれた。若い方が、そのまま、ゆっくりしゃがみこむと硬くなりつつある男根にキスをする。

亀頭の先の割れ目に舌を這わせ、先端から滲みだす液体を舌ですくい取る。半立ちだった男根が硬さを増して来ると、思わず口に頬張った。喉の奥に当たり、深く呑み込むと、その刺激に粘液が溢れる。男根をぬらりとした粘液が包み込み、性的な刺激が過熱する。

「待って・・・・」ニューハーフが制止した。

「ベットへ行きましょう・・・」

タオルで体を拭きあい、舞台はベットへと移動した。

 

その日の若い男は、いつもと違って、受け身の態勢で臨んでいた。いつもは、ニューハーフのアナルへ彼が挿入するセックスを続けていたのだが、初めて彼女の男根を「入れて欲しい」と懇願した。

硬く閉ざされていた肛門括約筋をニューハーフが舌で優しく愛撫する。男は優しい舌の刺激で体中に電気が走ったような快感を感じた。舌先を肛門に押し込むが、奥まで届く訳もなく、入口の力を抜くことしか出来なかった。やがて、ニューハーフはKYゼリーを持ち出し、男のアナルへ塗り込む。膝を立てて、アナルを露わにすると、入口に優しく塗って、指でゆっくりと括約筋の緩和をはかる。男のアナルから、力が抜けて行く。人差し指の第一関節まで入った所で、少しずつ出し入れして、ゼリーを中まで塗ると、二本目の指を挿入して行く。男の口から静かに息が漏れる。口を半開きにすると、肛門の力が抜けやすい。漏れる吐息に共鳴するように指の出し入れが続く。その間、ニューハーフは彼の乳首や唇に愛のこもったキスをして気持ちの繋がりを歌えてゆく。

アナルに挿入された指が前立腺を刺激すると、男の先端から粘液が溢れだし、怒張してゆく。

指が三本入るまで柔らかく成ったアナルへニューハーフがファックを試みる。KYは神経を麻痺させる効果が有るので、彼女は不本意ながら、スキンを装着した。挿入してから萎えないように・・・・・

彼の膝を抑え、亀頭の先から滲んでいる粘液を自らの男根に塗るように触れ合い、二本の男根を同時に握り摩擦する。勃起した相手の男根をお互いに確認する事でセクシーな感性が盛り上がってゆく。

男の粘液で、スキンの表面を充分濡らしたところで、アナルの入り口に亀頭を押し付ける。ゼリーで潤ったアナルはニューハーフの男根を受け入れるのに充分なだけ柔らかく広がっていた。

それでも、彼にとって、アナル処女を犯されると言う事の不安が多少の緊張をもたせて、アナルを収縮させる。

ニューハーフはゆっくりと挿入を始めた。押し広がるアナルにニューハーフの亀頭部分がめり込んだ。男の口からは、深く息が漏れたが、顔に苦痛の表情は無かった。その、顔を確認して、奥まで男根を挿入する。心なしか「メリメリ」と言う擬態語が聞こえてきたような気がした。

「ウッ!」と男がのけ反る。ニューハーフは「大丈夫?」と問いかけながら、深くまで挿入すると、男は、目を瞑ったまま「気持ち良いよ・・・」と答える。快感と苦痛の表情は似ている。

ゆっくりとした、出し入れが、しばらくは続いたが、徐々に動きが激しくなってゆく・・・・

男の亀頭の先からは我慢汁が溢れだし、それを目にするニューハーフは絶頂へ向かって腰を激しく振った。

男のザーメンが、勢いよく発射されると同時に、アナルへ挿入されたスキンの中にニューハーフのザーメンも発射された・・・・

しばらく、アンニュイな時間を経過して、どちらとも無く話始めた話題は、これからの2人の生活の事だった。その日、初めて、アナルでの快感を知った男が、ニューハーフとして生きてきた彼女に、心境を語った。

「今まで、ずいぶん悩んでいたけど、今日、決心がついた・・・・女性との交わりを持つ前に、私は女性に成る為の手術を受けたい。」それを聞いて彼女は戸惑った・・・・「この人は、私の為に男を捨てようとしている。本当にそれが、2人の幸せな将来に成って行くのか・・・・?」

「貴方と生活している中で、自分の中に女性としての気持ちが大きく成って来ているんです・・・逆に、貴女は豊胸までしていても、本当は男性的な性格を感じます。それは、初めての出会いから薄々感じていたのですが。貴女は猟をしに、あの映画館に来て私をgetした。それは男性が持つ感性で本来の貴女の男性よりの性格が感じられる・・・・それに引き換え、私は引きこもり気味の交際下手で、自分から何かを求めたりしない性格。どう見ても、見た目の関係と眞逆だと思うんです。今日、貴女にアナルを犯されながら、私は「幸せ」を感じていました、女性としての気持ちだったと・・・・だから、このまま、女に成りたいんです・・・・女を知らない内に。」この言葉を聞いて彼女の心に彼を愛する気持ちが、雪だるまが転がるように膨らんで行くのを感じた。

男・・・女・・・を越えた愛の深まりは、この後の2人の人生を大きく変えて行くのだった。

1970年代に入り、2人の愛は深まっていた。

そして、いよいよ性転換手術を決意した若い男の提案で、2人はモロッコへ向かっていた。

当時、直行便は無く、フランス経由での旅で有ったが、長いフライトも未来への希望が辛さを感じさせ無かった。隣の座席で眠っている相方を男性的な目線で優しく見つめるニューハーフは、人生を共有出来る人物に巡り合えた事に幸せを満喫していた。

フランスの空港で乗換えの手続きを終えた2人は何故か、中東へ向かう機に搭乗してしまった。それは、旅行会社に頼れる程、ヨーロッパへの旅は楽では無く、乗換手続きも自分でしなければならない時代だった為で、しかも2人が語学に堪能でなかった事も重なり、搭乗すべき便のナンバーを一文字間違えた為に起こった。そして、これが、彼らにとって、人生を決定させる大きな事件に巻き込まれる事に成る。

サベナ航空のボーイング707はベルギーのブリュッセルを経由してテルアビブへと飛び立つ。

2人は、何度も間違えて、とんでもない航空会社のとんでもない707に乗っていた。

 

ブリュッセルを飛び立って1時間程の時間後、サベナ航空機はハイジャックに遭った。パレスチナの過激派テロリスト4人組は、ロッド国際空港(ベン・グリオン国際空港)へ着陸を命じた。手製のプラスティック爆弾を身にまとい、爆破をほのめかし、パレスチナの要人317名の解放をイスラエル政府に請求していた。

イスラエル政府はこれを断固拒否して、空港での小競り合いの後、犯人の2人を射殺。人質の95人の内、3人が銃撃戦で死亡した。が、公表されたのは1人だけだった。

残りの2人が・・・・手続きの不備や、予定に無い搭乗者であった為、闇に葬られる形に成ってしまった。

元々、家族の居ない2人の事を気遣う者も居ない上に、性転換が今ほど、表ざたに出来ない時代で、誰にも内緒に、日本を出発していた為の悲劇であった。

イスラエル政府は被害を少しでも隠ぺいしたくて、死亡者を1人と発表した。

 

イスラエル、アマドの死体安置室に並んだ日本人の遺体に一人の男が興味を示していた。情報組織に所属する男で、大戦中、スロバキアに潜伏して情報収集をしていたエージェント。当時、既に50代半ばを過ぎていたはずであったが、20代の若者の姿を維持していた。吸血鬼・・・・彼も、スロバキアで感染していた吸血鬼だった。

日本人で、一人は女性のような体に男根を持っていて、もう一人は、男性で有りながら、その男根は極度に委縮していた。女性ホルモンの大量摂取で退化しつつあった。

アマドの男は血液を求めて、モルグへ足しげく通っていたが、ハイジャックで新鮮な死体が入った事を知り、急いで駆け付けたところだった。

「東洋人か・・・?珍しい体だ・・・・」

小さい男根に顔を近付け、じっくりと男根を見つめる。うっすらと口を開くと、人間らしからぬ犬歯がキラリと光った。右手で、男根をつまみ上げ、ゆっくりと口を近付け、根元へ歯を当てる。ゆっくり、本当にゆっくりと噛みちぎって行くと、食い込んだ犬歯の間に血が流れてきた。

唇ですすりながら、隣に横たわるニューハーフを見つめる。特別な感情が彼を狂気から興味へと誘った。

続いて、ニューハーフの首筋へ歯を立てる・・・・ニューハーフが瞼を開けると、赤く充血した瞳に男が映った。

彼はニューハーフを転生させたのだ。

首に刺さっていた犬歯をゆっくり抜き取ると、流れ出る血は直ぐに止まり、傷口がふさがってゆく。傷の完治と呼応して、ニューハーフの意識が戻ってきた。言葉の通じない国で、射殺された筈の自分が生きている事に驚きつつも、相方の事がすぐさま頭に浮かび、周囲を見回した。隣の解剖台に乗っている相方を見つけ、大きく叫んだ。名前を連呼しながら号泣して、彼を抱き上げた。

その様子を見ていたアマドの男は、優しい声で語りかけた・・・・と言っても、現地語では無く心に直接通じる方法で。「お前の恋人か?おまえはゲイか?」ニューハーフは、知らず知らずのうちに心の声で伝達していた。「恋人?・・・いいえ、最愛の人です・・・」

「助けて欲しいか?」「はい、勿論です・・・出来るんですか?」「私なら・・・・」「お願いです。彼、いや、彼女を助けて下さい」「男の機能は私が頂いたが・・・・それでも?」「我々はモロッコで性転換手術をする為にヨーロッパへ来ました。彼女は女に成る為に・・・・」「私が体だけ女にしてやっても良いが・・・・」「お願します!お願します!」滝のように涙を流しながら懇願すると。「分った。ただし条件が有る・・・」と言って承諾しつつも条件を提示した。「君達は日本人だな?それなら、日本に帰って、この女性と会うんだ。そして、これからの人生を彼女と共に生きろ。君達も彼女も我が一族の一員になったのだから、ニューハーフは理解できないまま、彼の命を救いたい一心で承諾するのだった。

 

アマドの男は口を股間に密着させて、舌を使い、彼の股間に女陰を作り上げてゆく。形は、女性その物に。

微妙な形が出来上がると、今度は、ニューハーフにしたように、首筋へ犬歯を立てた。そして、同じように蘇生させた。

モサドは新たな偽造パスポートを用意して、2人を無事に日本へ送り返したのだった。

 

2人に起きた出来事は、一切が闇の中に消滅していて、彼らには新しい名前と戸籍が出来上がっていた。渡航前に住んでいたアパートには、既に新しい住人が住んでいて、彼らは蒸発したと思われていた。

行き先のあても無いままモサドに指定された家へ向かった。

湘南にある、その家こそが、彼らがたどり着いた、新しい世界だったのだ。

 

 

 

私がこの家で、美しい女性の虜になってから3年の月日が経った、ある夏の日・・・・主人に呼ばれて、いつものように、お世話をしていると突然。「そろそろ、あなたも私達の仲間に成っていただきたいの・・・・」と言われた。うすうす、彼らがバンパイアである事は察していたのだが、私の中には未だに、普通の人生をおくるべきか、彼らに同化すべきか迷いが有った・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

  出演者達の正体を綴った所で、改めて私の生い立ちを語ろう・・・・・昭和も戦後の動乱が落ち着き始めた頃、私は、至極中流の家庭に生まれた。父は商社に勤めるサラリーマン、母は専業主婦。姉が1人、弟が1人、そして祖母が同居していた。姉は勉強が出来、スポーツも万能のスーパーウーマンで、国立の大学を出て証券会社へ就職した。弟はと言えば、団塊の世代を逃れた為、甘い教育の影響で、人生に目的を見つけられないまま、フリーターの生活を続ける事になる。私はといえば、勉強もそこそこ、特に際立った取り柄も無く、大学まで出たのだが、大学では、ただ、遊びまわっていた。当然、人生に生きがい等も無く、幼少の頃から覚えたオナニーだけが唯一の楽しみに生きて来て、気付いた時にはもう、23歳に成っていた。 セックスへの興味は、小学生の頃、父が商用で外国へ出向いた際に買って来たアメリカの婦人雑誌に載っていた下着の広告写真に誘発された。何故、そうなるのかは分らないまま、勃起した男根を足の間に挟んで指で刺激すると、恵も言われぬ快感を感じた。その後は、原っぱに落ちているエロ雑誌や公園のごみ箱に捨てて有るタブロイド紙などが格好のオカズになった。そんなある日、学校の仲間とかくれんぼをしていて、ある廃屋に隠れこむと、そこには不思議な椅子が有り、壁の隙間から洩れる光の中に、陰湿だが心魅かれる雑誌を発見した。女性を縛った写真が満載していて、浣腸や排泄の写真も含まれていた。椅子を見やれば、革で作られているが。足を乗せる為の台が片足ずつに成っていて、革のベルトが付いていた。瞬時に、多分足首の固定用だと分かった。今なら分る、婦人科の椅子である。人が長く住んでいなかった為に荒れ果ててはいたが、元々は金持ちの豪邸だった家である。家具も重厚さを感じる物ばかりで、何故?人が途絶えてしまったのか、子供の私には理解出来なかった。わたしは勿論、その場でオナニーした。着物姿の縛られた女性の虚ろな目に情欲が湧き立ち、一気に扱き上げた。初めての射精に、普段の快感を数倍上回った。射精する事を覚えてからは、オナニーする場所を確保するのが難しくなっていった。発射された精液の処理をしなければいけないので・・・・・ 中学生の頃は、世の中が受験制度の強要を科せる為に、裏側に潜む性の情報に触れる機会を失っていた。妄想だけが先回りして、女性の持つ神秘を勝手に作り上げていた。女子だけが受ける保健の授業が気に成って、ドアの隙間から覗くと、黒板に子宮や膣の図が描かれていて、保健の教師が性の知識を伝えつつ、避妊の重要性を謳っていた。生命の伝達の授業であったが、妙に興奮した。勿論、その夜のオナニーは挿入の図からのイマジネーションで快感を得た。

プラモデルが急激に発展した当時、戦闘機に興味を持っていた私は、米軍の「3軍記念日」に米軍基地を訪ねた事が有った。中学3年の5月、友人2人と共に、初めての米軍基地訪問へ向かった。

微妙な曇り空に中止されるかもしれない不安を抱えて・・・・・

ゲートには厳ついMPが2人だけ立っていて、警戒は思いの他、軽微だった。ゲートから、真直ぐに伸びた道は、アスファルトでは無く、コンクリートを使った平らな道で、アスファルトのざらついた道を見なれた我々にとっては、特別な施設だと感じさせた。滑走路には、T6 や F4-D 等の現役艦載機が並び、実機の大きさに目を見張った。厚木に有ったその基地の中には、在駐米兵の為のストアーが有り、三軍記念日には、日本人にも開放していた。商品は食品から衣料品や生活必需品など何でも揃っていた。欧米の人間は、家族が離れて暮らす事に、異常なほど嫌悪感が有るらしくて、兵士の妻や子供も基地に住んでいるとの事だった。 現役のT6イントルーダーの操縦席に座らせてくれるイベントが有り、友人と共に列に並んだ。順番が近付くに従って、興奮している自分を覚えている。自分の番が来て、操縦席の縁を跨ぎ、操縦席に入り込む。思っていたより広い操縦席には計器が所狭しと並んでいる。自分の知識で分ったのは高度計と水平儀ぐらいで、後は何の計器か分らなかった。それでも、心は大空を飛びまわる戦闘機乗りの気分を味わえた。一瞬、目の前に光が溢れ、空を飛んでる・・・・一体、何が起きたのか理解を越えていた。習った覚えもない、ジェット戦闘機を操縦している自分?頭の一部は、冷静に反応しているが、8割異常は戦闘態勢に入っていて、仮想敵の戦闘機を追いかけていた。操縦かんのトリガーを引くと、サイドワインダーが発射され、敵機へと吸い込まれて行くと同時に、バルカン砲から発射される曳航弾の白い線が集中して行く。一気に破壊される敵機!爆破の煙の中を突き抜けた所で、我に返った・・・・乗りこむ際に補助してくれた米兵の声が私を現実に引き戻した。友人の言によれば、2~3分、気を失っていたらしい。米兵に促されて、操縦席から降り、主翼の上で、足元がふらついた。 しばらく、頭の中にも霞がかったようになっていて、とりあえず、友人は支えてくれながら座れる所を探してくれた。私を座らせると、「俺達、他のブースを見に行くから、しばらく座ってろよ。」と2人で出かけて行った。まだ、携帯などない頃で、ゲートでの待ち合わせを約束していた。1時間ほどして落ち着いた私は、周りを見渡す。米兵ばかりが集まっているスペースで、日本人は一人も見当たらなかった。500m位離れた建物から、女性兵士が歩いて来るのが、他の景色の中で特別、浮き上がって見えた。オーラのような物が彼女を包み、ゆっくりと歩いているのに、近付くスピードはその動きにそぐわない速さで自分に近付いてくる。そして、私の前で止まった・・・・「Come On!」英語で話しかけられたが、何となく意味は分った。彼女は私の手を取って、出てきた建物へと連れて行った。何が起こるのか不安では有ったが、外国人に声をかけられたのは初めて、しかも妙麗な女性兵士。このシチュエーションで断れるほどの余裕を持ち合わせてはいなかった。彼女に促されるまま、兵舎の一番奥の部屋へ連れて行かれた。ドアを開け、私の手を引き、部屋へ引きずり込むと素早く鍵をかけた。ドア横の壁に私を立たせズボンをゆっくりと脱がす。壁に押し付けた時から、目は私の目を見据えていた。ブリーフを脱がして男根をゆっくりと撫でまわしながら私の反応を見る。徐々に彼女の目線が私の現実を壊してゆき、性の深層へと誘ってゆく。勃起した男根の先に滲む我慢汁を舌先で拭いながら、私の目を見続ける。私が目を瞑った瞬間、彼女は急に立ちあがり私の両手を頭の上に押さえつけ、ディープなキスをしてきた。化粧品の匂いと、自分の我慢汁の味を顔面に押し付け、豊満な乳房の圧迫が私の呼吸を妨げた。口をふさがれ、体を押さえつけられても、男根は隆々と天を目指していた。兵士にレイプされていると感じた時に、今まで感じた事の無い不毛の空間へ投げ出された。脳内にはフェロモンによる倒錯された性感が満たされ、血液は男根に集中して、今にも発射されんとしている。彼女の吐息が私の口中に吹き込まれた瞬間、発射されたザーメンは、軍服のズボンや床に飛び散った。彼女は私の手を離すと、部屋に有った椅子に倒れ込み、ザーメンのしみ込んだズボンを脱いで、その部分を口に運ぶ・・・・ショーツにシミが出来ていて、その上を、指で刺激する彼女の姿は、狩人が獲物を仕留めて、咥えているかのようにどん欲に見えた。私のザーメンの匂いでオナニーをする女性兵士の姿は、私が「SM倶楽部へ行こうと」と決心するキッカケだったかもしれない。女性の強欲な性の欲求、日本人には考えられないが、白人、特にアメリカ人の女性には、よく有るスタイルだったようだ。ぐったりとした私の目の前で、繰り広げられたオナニー。彼女が私を人差し指で呼んだ。這うように近付くと、ショーツを下ろし、私の顔を陰唇に押し付けた。今なら当然、セクハラかパワハラで訴えられても、おかしくない状況だが、何故か心地良かった。彼女はどこから出したのか、特殊な樹脂で出来た棒を持って、自分の唾液で潤している。特注の張型だったようだ。黒く隆々としていて、日本人の平均サイズの倍はあったと思う。彼女はそれをヴァギナでは無く、アナルへ挿入し、ヴァギナへは私の舌を求めていた。鼻がクリトリスに当たる位置に顔を擦りつけ私に舌を入れろと言われているのが、英語を理解できない私にも分った。チーズに似た香りを放つ陰唇の間に舌を押し込むと、彼女の子宮から溢れるジュースが私の口中に溢れて来た。張型のピストンが速くなる。股間にはアナルの匂いと精液の匂いと彼女のジュースの匂いが入り混じって卑猥な匂いが部屋中に広がる。彼女の絶頂に潮が噴き出た。私の顔や衣服をびっしょりにして、絶頂は数分続いた。獣声が部屋に響いたが、外では航空ショーの爆音で誰も気づかなかった。しばらく息を止められていた状態の私は、大きく、何度も深呼吸した。彼女は絶頂と共に、しばらく意識を失っていた。「戦士と言う異常な世界で抑圧された人間は、これほど性にどん欲に成れるのか・・・・?」と、その時思った。しかし、何故、私だったのだろう?そんな疑問が、その後の私を作って行く土台となった事は否めない。自分に、女性に対する不可解な自信ができたのだった。帰りの待ち合わせ時間に成る頃、雨が降り始めていた。彼女の潮で濡れていた事は、雨が消し去ってくれた。友人も傘をもっていなかった為に、濡れたまま電車で帰宅するはめに陥った。ヘビーオナニストの私は帰宅してから、脳裏に刻まれた記憶をネタに満足出来るオナニーを味わった。 その後、女性に対する、性の不信で傍に居る女性とセックスが結びつけず、オナニーの日々を送っていた。が・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

タブロイド紙でストリップ劇場で「生板ショー」の記事を読み、どうしても見て見たくなっていた。

当時、友人は多数いたが、性に関する好奇心を供用できる友は無く、一人で探索する事が多かった。 独特のうす暗い照明の中、ステージから、張り出している円形の回転ステージ。通称「でべそ」と言われている上で、観客の前で踊り子は股間を露出しながら踊る。「かぶりつき」と呼ばれる客は、ステージの上に肘を付いて、少しでも近くで見ようと、身を乗り出す。スポットライトは踊り子の顔よりも、股間に集中して、客の満足を得る。そんなストリップ劇場に来たお客をステージに上げて、本番をするという「生板ショー」。誰の発案かは分らないが、ストリップの世界を大きく変えた事は確かである。その後も、法とのせめぎあいで形を変えて行くが,結局、元の「見せる為のストリップティーズ」に戻って来てしまったのは、本流を外れていたからだろう。 川崎・鶴見には数件のストリップ劇場が有り、当時、城南地区に住んでいた私には、大変、都合が良かった。東横線の新丸子駅の近くに一軒あった劇場でも生板をやっているとの情報に、早速、出かけていった。その劇場はでべそが無く、普通のステージで、その昔には演劇等も興業していたらしい。入り口で数千円払い、中に入ると、独特の熱気に便所臭さが入り混じり、私にとって卑猥な要素が充満していた。時折、安物の白粉臭さが飛び交い、観客は無言のまま、最初の踊り子を待っている。「本日は当劇場、御来場、頂き、誠に有難うございます。本日○○嬢を中心に、魅力溢れる美女達の祭典。心ゆくまでお楽しみ下さい。尚、開演に先立ちまして、一言お願申し上げます。踊り子さんの衣装・肌には絶対に御手を触れないように。もし、お守り頂けない場合は退場して頂きます。それでは、開演致します。」口上が終わると、すぐさま音楽がかかり、照明が消え、スポットに照らされた踊り子が登場する。「生板」は全ての踊り子が行う訳では無く、数名の内の2~3名がステージからお客を呼び込み行っていた。慣れたお客は何人目が「生板」なのか心得ていて、それまで英気を蓄えていた。私が初めて行った時は、まだ、ステージに上がる勇気の有るお客が少なく、踊り子が無理やり上げているような状態だった。3人目の踊り子の時、それが始まった。踊り子は踊りながらストッキングを脱ぎ2曲目でドレスとブラを官能的に脱いでゆき、バタフライ1つの状態になった。3曲目が始まると、ステージに布団を持ちだし、客を誘った、誰も自分から申し出ない。「どなたか、居ませんか?」の声に私は立候補した。「勇気の有る方がいらっしゃいました。こちらへどうぞ。」ステージに上がると、先ず、おしぼりで手を拭いてくれた。30代と思われる、その踊り子は、多少肌が疲れていたが、顔立ちは私の好み、女優で例えると、大映映画で官能的な役に数多く出演していた女優に似ていた。私にキスするが、舌は入れて来なかった。これが彼女なりの貞操だったのかもしれない。私の手を自分の股間に持って行き、私の指で陰唇を広げさせる。うっすらと濡れていた。クリトリスを触らせて、性感を高めて行くが、何故か、私の男根は勃起してこなかった。気持ちが焦れば焦るほど、股間は冷静になって、どうしても勃起しない。彼女は待ち切れず、あらゆる手をつくして、私を昂ぶらせる努力をしてくれた・・・・結局、勃起出来ないまま、発射してしまった。快感など微塵もないままに・・・・・ 悔しさに、翌日、再挑戦した。完璧な勃起で大量の発射をした。その後、ストリップ劇場へ通い続けた。それでも、頭のどこかに冷静さが有り、観客の顔を覗いながら、音楽を計算し、タイミングよく絶頂していた。「羨ましいだろう。」と心で呟きながら。 ストリップの舞台に飽きた頃、本格的なSMに出会ったのです。六本木で・・・・・

                                                                                   最終章

 

葉山の豪邸で対峙する4人。この屋の主は、映画界からアイドルとして生まれ出た女優。山本雅子。そして、性転換した美女、雅。その伴侶とも言える、ニューハーフ、彩。そして私、中山甲斐。「私達の仲間に成る時が来たわ・・・・」雅子女史が私に迫った。私は、少しのためらいも無く、ただ頷いていた。雅と彩に挟まれ、地下2Fへと向かった。この屋敷に住み初めて1年、犯罪まがいの事にも加わり、危険な事も手伝って来たが、地下2Fへは入れてもらえなかった。それなのに、6月の満月の夜、唐突に始められた儀式は想像もしていなかった私に大きな決断をしいた。 今、思えば、もし、私に家族や親しい友人が多数いれば、この人達の申し入れを素直に受け入れる事は出来なかっただろう。 ドアの前で緊張が走った。雅子女史は大きめの鍵でドアを開けた。私は2人の女性?に挟まれた形で部屋へ入って行った。ひんやりとした部屋。床は御影石で周りの壁は黒く色づけしたガラスを貼ってあり、天井は鏡が貼ってある。70平米程の広さの中央に、大理石で出来た、食卓のようなテーブルが据えてあった。2人に支えられながら、ひんやりとしたテーブルに寝かされると、天井の鏡に、自分が投影されていた。雅子女史が壁の一部を押すと、壁が回転して、洋酒棚のような家具が姿を現す。ガラス製の引き戸を開け、中に有ったワインの瓶を取り出す。雅が手際よく開栓すると、豊穣なワインの香りが部屋中に広がる。雅からボトルを受け取った雅子女史は口に含み、私の傍へ来ると、私の口を開き、ワインを滴らせた。雅子女史の美しい唇から滴る雫が生命の息吹を私に吹き込んでくるような気がした。そのまま、彼女のキスを受け入れている間に、雅と彩はテイラー用のハサミで私の衣服を切り裂いて行く。シャツは雅が、そしてパンツを彩が・・・・パンツの裾から滑り込んで来るハサミがひんやりと私の皮膚に触れる。その感覚は、よく切れる包丁で指を切ってしまった時のようで、背筋に冷水が流れるような感覚だった。最後のブリーフにハサミが入る頃には、雅子女史のディープキスのせいで私の男根は勃起していた。私を全裸にすると、彩が、テーブルに有ったスウィッチを入れる。ゆっくりとした音楽が部屋に流れ出す。曲名は分らないが、中東の音楽のようであった。彩と雅が、腰を揺らしながら、音楽に合わせてドレスを脱ぎ始める。彩の男根もその時には充分、勃起していて、2人の踊りは異様なモニュメントと化していた。腰を揺らす度に、男根がヒクヒクと天を指し、雅は優しい手で、その男根を包む仕草をするが、決して触れない。雅の指が音楽に合わせ、くねくねと、彩の男根に纏わりつく。そんな情景の中で雅子女史はテーブルの4隅に設置された麻縄で私の手足を固定して行く。私は大の字に固定される。自分の心の中に有った、現世の柵など、全てが消えて行ったのは、拘束されたせい、だけでは無かった。雅子女史の持つカリスマと、出会いからこれまでの異常な世界の流れに、自ら溶け込んでいた為だろう。元々、持っていた自分の何かが開花して、それを雅子女史が導いてくれた事が、嬉しかった。音楽がテンポを速め、雅と彩の踊りは佳境へと向い、2人の汗が飛び散って、うす暗い照明にキラキラ光って見える。私の拘束を終えた女史は2人の傍へ寄り、目で合図する。2人は雅子女史の衣服を脱がし始める。年齢を感じさせない、美しい肌が徐々に露出して行く。3人の唇は、交互に重なり合い、お互いに、唾液を交換して、愛の深さを確かめあうかのようだった。女史の肌を覆うものが排除された時点で、部屋の体感温度は急上昇して、3人の体臭が、卑猥に混ざり合い、私の性を刺激する。女性の体臭とニューハーフの体臭、そして男の体臭は微妙に違う。ただ、一緒に生活して、同じ食生活を送っていた者同士は体臭が近付く事も否めない。お互いに不快感は無かった。ひとときの愛撫が続いた後、私の近くへ3人が寄って来た。女史がワインを私の体中に流すと、3人で、私の体を舐め回す。女史が私の唇。雅は乳首。彩が男根。私の脳内に3人のフェロモンが行き渡り、体内の血液は男根に集中して、思考と言う基本的な人間らしさは消滅していた。後に、獣の性のように、何も考えず、ただひたすら、セックスに没頭する事が、人間にも可能だと知り、人生観が180度変わった。私の思考が止まった事を察知した女史が、1本の縫い針を持ちだす。細い絹糸を通した針を、私の左乳首に当てる。プチっ。小さい音を立てて、皮膚に刺さる。そして、反対側の皮膚を、再びプチっと突き破る。ゆっくりと、針が乳首を抜けて行くと、ざらっとした絹糸が、乳首を貫いてゆく。女史が、私を跨ぐ様にテーブルに上がり、男根をフェラティオする。乳首の痛さが心地よく感じるほど、セックスに没頭していた。私に貫通させた針を彩に渡すと、雅の手伝いで自ら腰を落とし、私の男根を陰唇へと導く。雅は狙いを定めて、女史の胎内へ男根を入れて行く。充分に潤っていたとは言え、急激に挿入されるには、怒張が張り過ぎていた。ぬめぬめとした淫水が纏わりつきながら一気に突き刺さる。女史の口から声が漏れた。「ウッ!」女史がゆっくりと腰をくねらせると雅は結合している部分に舌を這わせる。彩が女史から受け取った針で女史の左乳首へと差し込む。私の時と同じように「プチっ」と音を立てて。皮膚を突き破る時の「プチっ」音に合わせて、女史の膣が収縮する。女史と私が、絹糸で繋がったまま、セックスを続ける。女史が私の体に近付く度に彩は絹糸を引いて、糸の張を調整する。女史と私のセックスを見ながら、糸の調整をしつつ自慰もしていた。女史の腰の動きがハードに成ると、女史の乳首から血が滴り出す。絹糸を伝って、私の乳首の縫い目にシミ込ん行く。1滴・・・・2滴・・・・その血液がしみ込む度に、自分の快感が高まって行くのを感じる。それまでに経験した事の無い昂揚が、私の全身を魅了する。極端に勃起した陰茎が女史の膣の中で躍動している。膣壁を押し広げるように・・・・・その儀式は数時間、行われたが4人共、時間などの観念は全く無かった。4人の体臭とワインの香りと、2人の血の匂いが、儀式の神聖さを卑猥な物へと破壊していた。獣のように、大きく声を上げて、我々が絶頂を迎える。一瞬にして、絹糸で結ばれた2人の体が密着する。私の陰茎の根元を舐めていた雅は、私の陰茎が脈打って発射するのを舌の感覚で知ると、隙間から溢れ出るザーメンを舌ですくう。ゆっくりと抜かれた後、膣から流れ出るのを待ち、ひたすら口へと運ぶ。立ちあがり、女史へと口うつしでキスをし始めた。彩も、そのキスへと参加して、3人の口は私のザーメンで満たされる。 その日から、私も彼らの仲間に成った。乳首から受けた雅子女史の血液で・・・・・・

                                                                                                                                                               END

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